2005年11月30日

CDにするにはもう「一手間」かけます

以前は「レコードをパソコンに取り込み、ボリュームの書き込みやノイズを取り除く」
という作業まで書きました。
今回は「それ以後」の作業について書きたいと思います。
fhoto049.jpg

ちなみに今回はこの2枚をCDにします。

fhoto044.jpgまずは「スペクトラムアナライザー」を使用して、レコードの周波数分布を調べます。僕らは「スペアナ」と略して読むことが多い、このエフェクトですが音質調整には欠かせません。で、こうして見ると、やはり「高音域」が少し弱いことがわかります。もちろんこの周波数分布がレコードの良さでもあるのですが、今回の依頼は「カーステレオで」聞きたいというものだったので、少し改善をすることにしました。

fhoto045.jpgEQ(イコライザー)により、高音域をブースト(つまり持ち上げる)して、さらに中音域も若干ブーストしました。EQと言ってもステレオ等に搭載されているのは「グラフィックイコライザー」と言われるもので、僕が今回使用したのは「パラメトリックイコライザー」と呼ばれるものです。詳しい違いはまた今度にします、一応「議員」のサイトなんで(笑)。ここで大事なのは、16kHz以上の「超高音域」という点を強調しているところです。このあたりには「演奏の空気感」が結構含まれているので、僕はいつもこの部分をブーストする場合が多いです。

続いてコンプレッサーを使い「音圧」を上げていきます。

fhoto046.jpg昔買ったCDと最近買ったCDを聞き比べてみて下さい、同じボリュームでもかなり音の大きさが違って聞こえると思います。特に最近のCDはボリュームが大きいものが多いです。これを「音圧」が大きいと言います。日本でも特にここ最近、音圧の高いCDが増えましたが僕はちょっと「音圧至上主義」にうんざりしてきています。音圧が高くて有利なのは、ラジオやCMなどで流れる場合ですね。テレビを見ててCMになって、ボリュームを上げていないのに急に音が大きくなった経験はないでしょうか?そういう曲が現代風に音圧を上げられた曲です。で、僕も音圧だけにこだわるのはイヤなんですが、やはり他の曲と一緒に聞く場合は「ある程度」の音圧が必要になります。耳が慣らされているものもありますしね〜。ここで「コンプレッサー」の出番です。簡単に言えば「グシャッと潰して、引き延ばす」ということです(笑)。もっとわかりやすく言えば、演奏の小さい部分も大きな部分も同じような音量にするわけです。その後全体のレベルを引き上げる訳です。もちろん僕もより音の良いとされるエフェクトを使用するようにしています。今回のコンプレッサーは「あのビートルズが使用していたアビーロードスタジオの〜を再現!」みたいなものなので、今回のサウンドには結構マッチしていると思います。

fhoto047.jpg僕の場合さらに「リミッター」を使い少し音圧を稼ぎます。音圧上げるの嫌いと言っても「僕も現代音楽ッ子」ですから、結構上げてしまいます(笑)。気がつけば最近のアイドル並みになっていたりしますからね〜。まあ車の中で聞くにはちょうどイイ感じだと「自分」では思っているんですけど、どうなんでしょうか?

これらの処理をした後、ファイルを書き出します。ちなみに「24ビット、44.1kHz」でまずは書き出します。CDは「16ビット、44.1kHz」なので、それ以上の高音質ですね。「どうせCDにするなら最初から16ビットで」と思うかもしれませんが、24ビットをマスターにCDにした方が音はイイです。少なくとも僕はそう思っています(笑)。

書き上がったファイルをCDライティングソフトで並べ、必要ならばさらにボリュームを書き込みます。そうしてSCSI接続されたCD-Rドライブで「1倍速(これ大事です!)」でCDを焼きます。まあ、ようは「プレス工場にそのまま出せる」クオリティーでCDを焼くわけです。ここはちょっとは自慢しておきましょう(笑)。ただ今どき「SCSI接続」のCD-Rドライブはほとんどありません。僕もYAMAHAのCD-Rドライブが欲しくて、ネットオークションでねばりましたから(笑)。

使用機材等を「知りたい!」というかたは、またコメントください!

2005年11月25日

以前から頼まれていた「レコードのCD化」作業を

依頼を受けて結構「日数」が過ぎてしまいました。
今日は昼から時間が取れたので、レコードのCD化作業に取りかかりました。
今回はその作業過程を一部お見せしたいと思います。
record09.jpg
実際はこのレコードじゃないんですけどね(笑)。

まずレコードプレイヤーで再生をして、音をパソコンに取り込みます。もちろんレコードにホコリなどがないかチェックしてから再生します。ちなみに使用ソフトはSeinberg CUBASE SX 3です。オーディオを取り込む際に「ノイズ」などが聞こえた場合は、一旦レコードを止めます。その後レコードをチェックして、もう一度再生しなおします。それでも同じ箇所でノイズが出る場合は、そのまま取り込みます。レコード特有のノイズだけは、取り込んでからでないと直せないからです。

その後、とりこんだオーディオの波形を見て
record01.jpg

余分な箇所(色の変化した部分)は切り取ります。無駄なノイズを乗せないためです。
record02.jpg

その後、曲の始まりや終わりにボリュームデータを書き込みます。
record03.jpg

レコ−ドは曲間にノイズが多くあるので、こうして処理する必要があるのです。これをボリューム処理でなく、前述の「バッサリ音を切る」処理をすると「プチっ」というようなノイズがのることがあります。これはデジタル特有のノイズなので、これを防ぐためにもボリュームを書き込むことにしています。そうやって、各曲に処理をしていったのですが、今回「やたらと大きなノイズ」が乗っていました。取り込むときから気にはなっていたのですが、何度再生しても同じノイズが出たのです。よくレコードを見ると、傷が見られました。レコードの最初の部分ですね。その部分以外はノイズが乗らないので、やはり原因はレコードの傷のようでした。さすがに僕にはレコードの傷を治す技術はありません(笑)。もう少し小さいノイズならほっとくのですが、さすがにこれは大きすぎました。
ちなみに波形は次のようになっていました。
record04.jpg
○で囲んだ部分が問題の箇所です。ところどころ「線」が飛び出ているのがわかるでしょうか。これが「パチっ」というノイズを出していました。
今回は波形をサンプルエディターで書き換えることで対処しようと思いました。

record05.jpg
上の波形を拡大したのが↓の写真です。
record06.jpg

でこれを、鉛筆ツールで波形を書き直しました。
それが↓の写真です。
record07.jpg

この処理を繰り返して、気になるノイズをなくしていきました。
その結果が↓の写真です。まるで別の波形みたいですね(笑)。
record08.jpg

で、この後「音質」や「音圧」を調整していきます。その手法はまた後ほど、書いていきます。