2006年1月11日

地方交付税計算の謎

やはりどう考えても、新福知山市の財政は不安だ。
見通しが良いとは、決して思えない。

以前にも書いたが、僕がこう思い続けているのは合併協が出した財政シミュレーションを見てからだ。
むろんこれは、住民説明会でも使用された。

しかしやはり、地方交付税の見立てが甘いような気がする。
「特例債の70%は交付税算入される」ということで、思いっきりそれを見込んだシミュレーションを作っている。

普通交付税の減額も、少々甘く見ているような気がする。
旧3町で「過疎債の70%は交付税算入されるから、たくさん使った方が得」と言いながら、公共事業をしまくった。

しかし実際に旧3町の財政はどうなったのか、いまさら言うまでもない。
多額の公債費と地方交付税の減額に苦しむことになった。

新市での公債費は福知山市単独で30億円だったのが、合併後には50億円以上に跳ね上がる。
で、今回は以前掲載した財政シミュレーションに「地方交付税計算表」を追加した。
もちろん合併協が資料として提出したものだ。
photo202.jpg
これが今回改良を加えた合併後の財政シミュレーションです。

厳密には合併協のものとは、若干数値が異なります。
合併協のものは、下3桁を四捨五入している行もあるので僕の作成したシミュレーションとは少し数値がずれます。

しかし、基本的には合併協が提出したものをそのまま打ち込みました。
僕はMac版のエクセルを使用しているので、もしかしたら若干表示が異なるかもしれません。

また「地方交付税計算表」はA3に設定しても1ページに入りきりませんでした。
少々見にくいと思いますが、よければご利用下さい。

さて「ちょっとは見てくれたもの」として話を進めます(笑)。
驚くことに、合併協では普通交付税をH21年〜H27年まで減額せず横並びの予測を立てているのです。

確かに合併特例法では、合併算定替えということが明記されている。
これは「合併が行われた年度及びこれに続く10か年度は、合併前の旧市町村が存在すると仮定して算定した交付税額の合計額を保証し、その後5か年度で段階的に増加額を縮減」
というものです。

しかしこれは「交付税の額を保証する」ものではないのですよ。
「それぞれの自治体が貰える交付税を保証する」もので、国の三位一体改革から言えば合併してもしなくても減額されるはずです。

もちろん減額にならないように、今地方から大きな声が挙げられています。
実際に効果もある程度見られました。

しかしこの先の財政計画を立てる上で、ある程度「厳しい」現状を見据えておかなければならないでしょう。
それがこのシミュレーションには見られないのです。

そして合併協のシミュレーションには、まだ疑問点があります。
それは「合併算定替後の一本算定の数値」です。

つまり「新福知山市単独」での交付税の見立てが非常に甘いような気がします。
さすがに旧1市3町で「基準財政需要額が今後どうなるか」までは、行政も僕もシミュレーションはしていません。
と、いうか「かなり困難」です。

こういう場合には「類似団体別市町村財政指数表」を使ってみるのもいいでしょう。
↓これがその現物です。重くて「高い」本です(笑)。
photo201.jpg

僕もこれを使用して、新福知山市の一本算定での交付税を予想しようと思いました。
でも、旧1市3町の決算カードを「なくして」しまってたのです…。

だから推定でしか、計算はできませんでした。
まあこの「類似団体別市町村財政指数表」自体があくまで「平均値」を表したものなので、
そのまま鵜呑みにはできませんけどね。

あくまで合併協との比較ということで、使用したわけです。
しかし僕の試算では「かなりの差が生じる」結果となりました。

前述したように、まだハッキリと報告できる研究段階ではないので数値の公表は今回は避けておきます。
僕はあくまでも「より住みやすい福知山市」のために研究してるのであって、
「不安をあおるために」研究しているのではないですから(笑)。

しかし僕が思うことは、現状は常に変化をしています。
早急に合併時に立てられた財政計画と現状を照らし合わせ、新たに財政計画を練り直す必要があるんじゃないかと思います。

財政運営の失敗のツケを払わされるのは、僕たちの子や孫なんですから…。

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